私の20代は、うつ病と闘った10年でした。
今にして思えば、大学在学時からその傾向はあり、なんとか騙し騙し生活をしていたものの、とうとうどうにもならなくなって、本格的に自覚し、通院を始めたのが24歳の頃。24~28歳くらいまで、殆ど寝たきりで、ほぼ引きこもり生活をしていました。
良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ回復に向かっていきまして。
34歳の現在は、たまに精神的に不安定になるものの、自分なりの対処法を知っているおかげか、深刻化せずに済んでいます。
回復するまでの過程で、すこしでも早く良くなるよう、様々なことを試しましたが、正直、色んなことをやり過ぎて、どれが効いたのか分かりません。
ですので、やってみたことをリストアップしてみたいと思います。
ただし、中には逆効果なこともあったかもしれません。
それをご理解いただいた上で、あくまで一例として、ご覧いただけますと幸いです。
<鬱レベルMAX>:とにかくゴロゴロ、全自動・小回復モード。
朝、布団のなかで目が覚めて、そのままの状態で一日過ごす、なんて日もありました。とにかく体が重くて、だるくて、布団から動くことができない。
体は動かないのに、心はよく動く。
だから焦る。
「このままではいけない。起きなくちゃ。」
そんな時は、そのまま眠ってしまうのがベストですが、不眠症も同時に抱えていたので、それすらうまく出来ませんでした。
今でも、夜なかなか眠れない時に、この頃のことを思い出します。
眠れない時はこう考えよう
そんな時はこう考えてください。
「目を閉じて布団に横になっているだけで、身体の8割は回復できているので問題はない」と言われています。
参考:目を閉じるだけで睡眠効果が8割もあるって本当なのか??
目を閉じて光を遮断することで、目と脳の疲労回復効果があり、
寝転んで心臓の負担を軽減することで、身体の疲労回復効果がある…ということなんですね。
つまり、ゴロゴロしているだけで、勝手にどんどん回復していってくれているということ。目をつぶるのがベストですが、寝そべっているだけでも回復効果はあります。
一番避けたいのは「眠れないことを責め、焦ること」。
脳を休めるには、リラックスをするのが一番大切なポイントなので、難しいかとは思いますが、なんとか開き直って、ゴロゴロしてください。
あなたの心身はそうして、省エネモードで自動回復をしているのです。
リジェネみたいなもんですね。
そうならざるを得ないほど、あなたの心身はダメージを受けています。
<鬱レベル高>:布団の中で好きなことをした。ネットとか。
布団の中からは出られないけれど、布団の中ならば動くことができる。
そんな時は、布団の中で出来ることをやりました。具体的には、ネットです。
私の時は、スマホが普及していなかったので、うつ伏せになって、ノートPCを操作していました。
鬱について調べてみた
インターネット上には様々な情報があります。治すためには「知る」ことが重要だと感じ、ひたすらうつ病の関連サイトを読み漁っていました。
ネットで批判意見を調べるのは程々に
うつ病時は、とにかく自罰的になっています。
自分に何か厳しい罰がくだされるべきだと思っているし、
誰にも責められないと逆に不安になる。
身の回りの人には、腫れ物を触るように扱われるが、「口ではそう言っているが、本音ではそう思ってはいないのでは?」という不安にかられる。
その点、ネットには良くも悪くも本音がバラまかれていますから、知ることで安心しようとする。
少なくても、知ることができれば、心構えを変えることもできますし、何らかの対策も取れますからね。
とにかく、「改善のための何か」をしていないと落ち着かない状態だったように思います。
ネットに書いてあることが、世間の皆が思っていることと思いがちになってしまいますが、決してそんなことはありません。
「ネットに書いてあること=国民の総意」だと思わないようにしてください。
調子のいい時は、布団の中で出来る趣味をやってみた
下手クソでしたが、絵を描くことが好きでしたので、調子のいい日はよく、うつ伏せになって紙に描いたり、ノートPCを使って、デジタルイラストを描いていました。
下手過ぎて、かなり恥ずかしいのですが、当時の絵を載せておきます。
絵の練習に効果的なことで有名なサイトPosemaniacs.com – 絵の練習用ポーズモデルで練習を開始
どうです、下ッ手クソでしょう!
(今も決してデッサンが上手い方とは言えませんが)とってもヘッタクソでした。
それでも、調子のいい日にだけ、すこしずつ練習を重ねて…
生産性のある趣味がお勧め
少しずつではありますが、やればやるほど上達していったので、無力感が和らぎました。紙やデータを残しておくなど、過程を残すことで、見返すたびに達成感を得ることができました。今にして思えば、この時の経験が生きていると感じます。
布団の中でもできる、好きな趣味が何かあったら、試してみることをお勧めします。
おすすめ関連記事:1500円ですぐに本格スタートできる!水彩色鉛筆画が楽し過ぎた話 – ひびわれたまご
趣味を楽しむことに罪悪感があったら
「たくさんの人に迷惑をかけて休んでいるのに、自分は好きなことをしてダラダラしているなんて…皆が知ったらどう思うだろう?」
そんな風に感じて、楽しんでいること自体に、なんだか後ろめたさを感じる時もありました。「それが今の自分の仕事だ」と割り切るのが一番かもしれませんが、なかなかそう思えませんでした。
「皆がどう思うか?」が気になる場合、コッソリとやるのをお勧めします。
新しいSNSのアカウントを作って、誰も自分のことを知らない場所で趣味を楽しむか、黙って影でコソコソやりましょう。
ただ、本当に自分の回復を願ってくれている人は、楽しんでいる貴方を見て、嬉しく思うことはあっても、苦々しく思うなんてことはないと思います。
それでも、苦々しく思うような人がもしいたとして、そんな人と付き合っていても回復が遅れるだけなので、離れてしまうのが一番かとも思いますが、なかなかそうもいきませんよね。
「元気そうじゃん、ならこれもやってみたら」なんて言われて、多くを求められても困る。やっぱり、こっそりやりましょう。
<鬱レベル中>:できることを色々試した
ちょっと体が動くような時は、ここぞとばかりに色々なことを試しました。
「リラックスする」ということが、どういう状態か分からない。
「ストレス解消しろ」と言われても、ストレスが溜まっていない状態が、どういうものかも分からない。
「リラックスをしなければ…!」と血走った目で必死こいていた気がします。
- アロマセラピーを試してみた
→焼け石に水だった。アロマでどうこう出来るような、そんなレベルでない。 - スピリチュアルに頼ってみた
→うつ病中は、普段以上にリアリストになっているので全くピンと来なかった - 朝日を浴びてみた(カーテンを開けっ放しで寝た)
→効果があるのかないのか、分からなかった(多分あった) - バナナを食べてみた
→「でっていう。」目に見えて劇的な効果があるわけではない - 早寝早起きを心がけてみた
→できなかった。そもそも眠れない。
- 近所のコンビニに出かけることから試してみた
→徒歩3分でも達成感はあった - SNS(mixi)でポジティブな「今日できたこと日記」をつけてみた
→調子の悪い日は前向きなことを書くのもしんどかった
&マイミクからの反応がないと不安になった
「リラックスをしなければ…!」「ストレス解消しなければ・・・!」「少しでも回復しなければ…!」と焦って、無理をしては悪化していたような気がします。
そのままダラダラしているだけでも良かったし、結局それが一番の近道だったのに、プレッシャーを感じてしまうんですよね。
<鬱レベル低>:外に出たり、人と関わってみた
- 図書館に行って、カフェに寄って帰る、散歩コースを決めた
天気のいい日は原付に乗って出かけると、風が気持ち良くて気分転換になった - 図書館から心理学の本を借りてきて、調子のいい時に読み漁った
→知識を深め、認知のゆがみを矯正するのに役立った - 自分の大好きなカラオケのオフ会なら、行ける気がした
→そこで現在の旦那と出会った(その時はその重要性に気づいていない) - 怒りを爆発させてみた
→怒りの矛先を、それまでは全部「私が全て悪いんだ」と自分のみに向けていた。他人への遠慮と我慢をやめて、攻撃性を自分のみならず、周りに向けてみた。信用していい人と、悪い人の見極めに役立った。
こっそり死んでみることにした
「今すぐ死ななければ、将来大変なことになる」と信じて疑わなかった
未来が怖くて仕方がありませんでした。何の保証もないんですよね。
治る保証もないし、治る気もしないし、いつまで経っても良くならない。
自分なりに努力をしているのに、良くなっている実感が持てない。
悪い考えばかりが頭をよぎる。
未来が怖い。他人が怖い。社会が怖い。生きていたくない。
構ってチャンのメンヘラ女になって、迷惑をかけたくなかった
わたし自身、元カレや友人からの「死ぬ死ぬ詐欺」に振り回され、辛い思いをしたので、「私はそうはなるまい」とか、「心配をかけてはいけない」とか、「他人の負担になってはいけない」という思いが強かったです。振り回される方は、命を盾に、毎日脅されているわけですから、精神的にも参ってしまうし、体力的にもたまったモンじゃないんですよね、アレ。
それに妙なプライドもあって、「構ってちゃん」「メンヘラ女」だと思われたくなくて、そして何より、これ以上、誰にも迷惑をかけたくなくて。
なかなか弱音を吐けなかったり、無理して明るく振る舞い、平気なふりをしたり。
遠距離恋愛をしていた当時の彼氏と別れてからは特に、気軽に素直な気持ちを話せる相手がいなくなり、他人に(家族にも)心を開くことが、どうしてもできませんでした。
(それでも、当時を知る人から見れば「いやいや十分、構ってちゃんのメンヘラでしたよ…」と言われそうではある)
誰にも、何にも、期待していませんでした。
自覚はありませんでしたが、重度の人間不信だったのだと思います。
ひっそり自殺をしようと思った時、自分が本当に望んでいることに気づいた
そんな無理がたたって、ある日プッツン。
「…よし、今から死んじゃおう★」と、変なスイッチがはいりまして。
途中で止められたら困るので、怪しまれないように、いつも通りに明るい闘病日記を書いて。
連絡がつかないように、携帯とパソコンを物理的に破壊して。
家族に笑顔で「行ってきます」を言って。
死に場所を探して、家を飛び出したことがありました。
「心配かけないように」徹底して振る舞っていたせいで、
悲しいことに、誰もその「異変」に、気づいてくれないんですよね。
もっとも、その時は好都合だったわけですが。
このように、行動力が回復しつつあるときほど、自殺の危険性があるそうです(重度の時は本当に動けませんからね…)。
まあ詳しくは別の機会に書きますが、死に場所を求めて彷徨ううちに、なんやかんやありまして。
何となく入ったカラオケで、自分が本当に求めていたことに、気づきます。
歌う気力もなく、ボーッと歌詞を眺めていたら、何故か次から次へと涙があふれて、止まらなくなりました。
愛・おぼえていますか 飯島真理 – 歌詞タイム
「もう ひとりぼっちじゃない あなたがいるから…」
そのまま一人で、ひたすらオイオイ泣きました。
他人を、社会を、信じてみることにした
なんのことはない、文字通り「死ぬほど寂しかった」んだということに、その時になって初めて自覚。寂しさは、人と関わることでしか解消されませんから、勇気を持って、他人を信じることから始めようと思いました。怒りを周りに向けて、初めて爆発させたのも、この頃のことです。
そこからの回復スピードは、目覚ましいものがありましたよ。
実家を出て、旦那と東京で暮らすようになって、少しずつ体力と自信をつけて、軽くアルバイトを始めて…。一筋縄ではいきませんでしたが、そんなこんなで、今に至っています。
いかがでしたでしょうか。他にも良いとされることを片っ端から試した記憶がありますが、記憶があやふやな部分もあり、現在、思い出せる範囲で、簡単に書き出してみました。もし機会があれば、どこかで詳しく書こうと思っています。
大事なこと
- とにかく休む
- そんな自分を許す
- 誰に何を言われても、無理をしない
- 「生きていても何も良いことはない」なんてことはありえない
- うつから回復している人間が、たくさんいることを知る
- 他人を信じて、開き直る勇気を持つ
特に最後。
「まあいっか」の重要性について、前回の記事でも触れました。
「まあ、いっか」と開き直ることが、死ぬほど怖かった
嫌われたくない、拒絶されたくない、呆れられたくない、見捨てられたくない。
一人ぼっちになりたくない。
今もすこし、苦手です。
「脅威を放っておく」ということは、かなり勇気が必要なこと。
こうやって振り返って「書く」ことは簡単ですが、実際に行うのは難しかったことばかりです。うつ闘病中、様々な本を読みながら、理想通りにいかないことに焦ったりしました。
最初に触れた通り、どれが効いたのか、どれが悪影響だったのか、分からないことばかりですが、回復した人間の、ひとつのケースとして、何かひとつでも参考になれば幸いです。
【追記】今、生きているだけで、あなたはとても頑張っている
(5/15 13:00追記)
コメントやツイートで「この記事を読んで、『これすら出来ない自分はダメな奴だ』と責めてしまう人が出てしまうのでは…」というご意見を、複数いただきました(ありがとうございます)。それを受けて、追記です。
うつ病の症状は、千差万別であり、環境次第でも変わってきます。
(そもそも私は、躁うつ病の疑いもかかっていましたし!)
みんながみんな、同じではないですよね。
繰り返しますが、どれが正解だった、というのも分かりません。
でも、ひとつ確かに言えるのは。
このお話は、「独りで死ぬほど我慢したら、うっかりそのまま死にそうになった話」です。
周囲に心配かけまい、迷惑かけまいと私はかなり無理をしました。
聞こえはいいですが、要は、私はそうやって、他人を信頼しませんでした。
結果として、それが私を追い詰め、ますます孤独にし、支援の手を自ら遠ざけ、まんまと死にそうになりました。これはそういうお話です。そこは、決して、真似をしないでください。
本文中でも触れましたが、「ただダラダラするのが結局は一番の近道だった」んだと思います。今、うつ病闘病中の方。別にここに書いてあることが、できなくたっていいんですよ。どうか、好きなことして、ダラダラしてください。それ「が」いいんです。
我慢しないで、無理をしないで、どんなに自分がダメダメに思えても、今はそんな自分を、責めずにいてあげてください。
そして、それが難しいということも、よく知っています。
このブログでは「ありのままの自分を、他者を、認める」ということをテーマに、様々な記事を掲載しています。
少しでもあなたの心が安らかになれるよう、心から願っています。
この記事をここまで読んでくださって、ありがとうございました。
コメント
はじめまして。今どん底なんでここに来ました。
はじめまして。
双極性障害のことを色々調べているうちにこちらに辿り着きました。
ブログの内容が、今まさに私に当てはまることばかりだったので、すごく気持ちが軽くなりました。
ありがとうございます。
メンタルの病と共存?し続けてかれこれ10年以上になります。
幸いな事に、理解し支えてくれる家族や彼に恵まれていますが、
やはりメンヘラ構ってちゃんにはなりたくないという思いから心配や負担を掛けまいと本音が言えなかったり、どこかで彼を信用できずに一人で勝手に孤独を感じてしまったり…。
何とかしたくてネットで色々調べているとネガティブな情報が多くて、それを鵜呑みにして不安になりますます落ち込む…(笑)
こちらのブログを読んで、視野が狭くなっていたことに気付きました。
自分を責めないで、できない事があってもいいんだと、もう少し緩やかに過ごしてみようと思います。
志乃さんの文章はユーモアがあってとても読みやすいですね(*^^*)
これからもブログ拝見させて頂きます。
はじめまして。約2年前に抑うつ診断、現在もうつ状態の診断にて会社退職して、のんびり過ごしている身です。
うつ状態MAXのときもあらば、低いときもありかなり波があります。正直、MAXのときってこんなこともあるんだろうな〜って思ってて、医者には低〜MAXまで差があること話せてないんです。。
日によって、症状が違ってでもそれを上手く自分で説明できなくて…。このように記事して頂けたこと感謝しております。
また、同じような方がいて安心もしました。
そして他の記事も読みました。回復の励みになるようなことばかりでありがたいです。
これからも拝見させて頂きます。
初めまして。
無気力で辛くてググっている内に辿り着きました。
うつ病になった時期や気持ちなど、すごく共感する部分や同じところがあり、読ませて頂いて気持ちが少し楽になりました。
全く治る気配のないうつ病に10年の付き合いになるうつ病に本当に嫌気がさして、そして今の現状に本当に逃げ出したかったですが、少し楽になった気がします。
またお邪魔します。
記事を書いて頂いてありがとうございます。