いつもなんとなく見ていた子ども向け番組で、意外な展開に
Eテレの「スマイル!」で、ちょこちょこ発達障害児への対処法っぽい描写がある。番組ではそうとは言わない。今日のは「話したいことに夢中になって相手を困らせてしまう子」が出てきて、その子にアドバイスするのかなぁと思ってたら、聞き手側の子の方に「こうするといいよ」と助言してて少し驚いた
— 望月志乃🐈ママADHDエッセイスト? (@shinoegg) 2018年2月21日
他の回では、読み書きが苦手な子にタブレットが与えられて、「えー、ずるい!」と発言した子の方を優しく諭す回もあった。発達障害の発の字も出さず、一方的に「周囲を困らせてしまう行動をとる子」を注意して終わる訳でもなく。「自分が合わせられないのが悪い」と思っていたから目からウロコ。
— 望月志乃🌞ADHDだヨ!全員遅刻 (@shinoegg) 2018年2月21日
「こだわりがあることは良いこととして、まず受け止めてあげて」
— 望月志乃🌞ADHDだヨ!全員遅刻 (@shinoegg) 2018年2月21日
「でも長いし興味ないし聞いてたら時間がなくなっちゃうよ」
「この子にとって話せないことはとっても辛いことなんだ、例えば『1分だけ聞くね、そしたら次は◯しよう』って、時間を区切って聞いてあげて」
「わかった」
絶対に「空気を読まずに喋り続ける子」の方が注意される流れだと思ったからまさかの展開。
— 望月志乃🌞ADHDだヨ!全員遅刻 (@shinoegg) 2018年2月21日
私は相手に冷たくされることで学習した部分もあるし、社会に出たら皆がこうして好意的に自分に合わせてくれるとは限らないし、これはこれで大丈夫なのかな?って思ってしまう。染み付いてる。
つまり私はそういう「冷たくされた思い出」も「必要な事だった」と肯定的に捉えてるってことになる。でも私は当時から軽度な方だったのかもしれないし、学習してすべて未然に防げたら苦労はしない。致命的なトラウマを抱えてからでは遅い。道徳番組で、子ども達に寄り添う姿勢を示してくれるのは希望だ
— 望月志乃🌞ADHDだヨ!全員遅刻 (@shinoegg) 2018年2月21日
今の道徳番組ってこんな感じなんですよね…。なんというか、確実に昔よりよくなっていると思う
— 望月志乃🌞ADHDだヨ!全員遅刻 (@shinoegg) 2018年2月21日
少なくても私が子どもの頃はこうではなかった。
Eテレ「スマイル!」とは…
NHK教育テレビ「Eテレ」にて毎週水曜日あさ9:00から放送中の、子ども向け道徳番組。
今回、改めて番組のことが気になって公式サイトを調べてみて驚いた。
「スマイル!」は、もともと<特別支援>をテーマにした番組だった。
「スマイル!」は「特別支援教育・学級活動のための番組」です。
学習の基礎的なところでつまずきがあったり、人とのつきあいでつまずきやすい子どもたちをおもな対象としています。
(中略)トラブルをかかえている子も、そうでない子も、クラスでいっしょに楽しく見て、みんなの毎日の笑顔をふやしていくことにつながるものです。
番組で示すアドバイスの内容も、発達障害児に限らず「子どもにありがちなトラブル」に対する対処法。子どもたちを「区別」することなく、「みんなで笑顔に過ごすためのノウハウ」を解説している。
わたしは当事者なので、どうしても「周りに合わせるためのライフハック」に重点を置いて考えがちなのだが、そうではなくて、対象はあくまで「クラスのみんな」であり、「みんなで考える」ことが大事なんだなあ。
社会はそんなに甘くない?けど…
発達障害児を取り巻く環境は、私たちが子どもだった頃よりも、ずっと理解のある、あたたかなものになってきている。
ただ同時に、現代社会に生きる成人発達障害のひとりとして、「理解ある学校環境から、社会に出た時のギャップ」を心配してしまうこともある。
理想は理想であって、現実ではない。
理解のない大人が社会の中では大多数で、今まさに生きづらさを抱えて悩んでいる成人発達障害者がたくさんいる。
学校という社会の縮図の中で、予行練習のように数々の失敗をして、痛い目をみながら大きくなったという自負があり、(「だからお前らもすすんで痛い目をみろ」とは決して言わないが)振り返ってみれば、辛い体験も必要なものだったように思う。今の子どもたちに対して、純粋に「良かったね、うらやましいな」と思う気持ちと共に、(でも、社会はまだまだ厳しいぞ。)と心配する気持ちもある。
子どもは未来の社会をつくる
少子高齢化とは言っても、今の子どもたちがリーダーシップを発揮して社会を動かす番がやってくる。そう考えると「多様性を理解しよう」という今の教育の流れは、それ自体が大きな希望だ。
私はこのブログの中で、「発達障害はグラデーションになっていて、健常者といえども薄いグレーだ」ということを伝えてきた。発達障害の有無は、白黒ハッキリついているわけではなくて、あくまでも地続きで我々がいる。
「発達障害」を抱えた子どもたちの悩みは、そうでない子どもにとって、決して他人事ではない。
Eテレ「スマイル!」は、「差別」になりがちな「区別」を行わず、「みんなで見て、みんなで考える」ことを目的にしている。明確な区切りも、前提も、子どもたちには、必要のないものなんだろう。
そしてこの関係性こそが発達障害を持った人と社会の、理想的な在り方のように感じた。
子どもの気持ちを忘れてしまった当事者ママ、反省す
実をいうと、以前「スマイル!」を見た時、(こんなに初歩的なことからやるの…?)と思ったこともあった。
当時は番組のテーマも分かっていなかったし、(これくらい教わらなくても分かるだろうに…)と、「できる側の人間」としての驕りがあったように思う。
気持ちをわかってあげられるはずの「先輩」なのに、このありさまだ。
当事者の目線に立つというのは、本当に難しいことなんだなと、改めて感じた。
たくさんの人に見て欲しい番組
困ったちゃんに注意をして終わるのでは、番組を見終わった後に、正義感から「いけないんだ〜〜!」と糾弾の対象にもなりかねない。
そして、「困ったちゃんにどう対応すればいいのか」を、適切に教えることが出来る大人はそう多くない。
相手にするなとか、距離をとれとか、拒絶する方法を教えることは、とても簡単。
ポジティブなアプローチをしようにも「そんなこと言わないで、仲良くしてあげて?」とかいう、ふわっとしたアドバイスになりがちだ。
でもそれは、片方の子に負担を強いることにもなりかねない。子どもの良心に訴えて、ただ我慢をさせても、いずれ必ず限界がくる。
また、発達障害児にとっても、このような番組を見ることで、「よく解らないうちに距離を取られて、気づいたら孤立していた」なんてことが減り、「ああ、こうすればいいのか」と、具体的な対処法がわかりやすくなると思う。
つまり、どっちに対しても学びとメリットがある、素晴らしいつくりになっていると思った。
「わかっちゃいない大人」の一人として、これからも勉強させていただきます。
お知らせ
ご好評をいただき自費出版本が商業出版として3/9(金)から全国販売決定!
コメント