どうも。発達障害界の美輪明宏を目指す女、望月志乃です。
今回は、よく頂くお悩みについて、お応えさせていただきますよ。
前回のお悩み相談のなかで、「ADHDにとって大学生活は難易度が高い」というお話をさせて頂きました。
この記事を読んだ方はこちらも読んでいます
こちらの記事に対し、現役大学生から多くの共感を頂き、ADHDの大学生が、いかに深刻な悩みを抱えているのかを垣間見ることができました。
それで今回は、大学生からよく頂くお悩みについて、いくつかお返事したいと思います。
【お悩みvol.4】自分がADHDなことを、親にどう説明したらいいのか分からない
はじめまして、大学生でADHDを疑っている者です。
未受診ながら学内カウンセラーさんの支援もあり、なんとかこれまで学生生活を送ってこれましたが、最近ぱったりと気力が失せてしまい不登校になり、不眠の症状も出たため精神科を受診しました。
ADHDを疑っていることも話すと、困っているのなら検査を受けてみてもよいのではと言われ、近々発達の検査を受けることになりました。
そこで本題なのですが、私はまだ親にADHDを疑っていることを言えていません。
ですが、検査の際に出来れば親の話も聞きたいと言われたので話さなければいけなくなりました。
実はカウンセラーの支援を受けていることすら言えていないので、親は私が難なく大学生活を送っていると思っています(一人暮らしなので隠せてしまいます)。
昔から近しい人であればあるほど自分を良く見せようとして悩みを打ち明けることに抵抗がありました。が、状況が状況なのでそろそろ話さなければいけません…どう切り出したら良いのでしょうか。
何かアドバイスや助言などがございましたら教えていただけると嬉しいです。
こちらのお悩みについて、既にツイッターでお応えしたのですが、「ADHDについて理解がない親に、どう切り出したらいいのか分からない」というお悩みを、本当に多くの方からお寄せいただきました。この機会に改めて、わたしの考えを書かせていただきたいと思います。
ご質問ありがとうございます。
もし切り出すとしたら、「実は最近、調子が悪くて、病院に行って来たんだ」でしょうか。最初に大きなショックを与えてしまうと、それ以降の話を冷静に聞いてもらえない可能性が高いです。
最近ようやく発達障害の認知と理解が広まってきましたが、あなた方の親世代には、まだまだ発達「障害」という言葉に強い抵抗をおぼえる方も少なくありません。ですので、最初はなるべく相手にも抵抗が少ない言い方で、徐々に本題に入ってみてはいかがでしょうか。
でも「出来れば聞きたい」ということは、必須ではないということです。
親に言いたくなければ、言わなくてもいいんですよ。
精神科医が「できれば親の話も聞きたい」という理由とは?
精神科医は、なぜ「できれば親の話を聞きたい」と言うのか、その理由について。
結論から言うと「幼少期の話を詳しく聞く必要があるから」です。
要するに、幼い頃のあなたの話の、証人になって欲しいということなんですよ。
私が発達障害の診断を受けた時、最初から「親の話を聞かせて欲しい」とは言われませんでした。30代という年齢のせいもあるのでしょうが、診断を下すのに、親の話は必ずしも必要ではないということです。
代わりに、小学生時代からの通知表を持参するように言われました。
発達障害について診断をする場合、幼少期はどうだったのかという点が重要になるようで、これまでの生い立ちを詳しく聞かれます。
その際に、本人の証言だけでは判断が難しく、第三者視点からの証言を求められる場合があるのです。それは別に、通知表でもいいということでしょう。
未成年となると、まだ親の保護下にいますから、どう言われるのか心配ならば、成人してから受診してもいいと思います。
親が理解してくれるとは限らない
悲しいことですが、家族が私たちのことを理解してくれるとは限らないのが現実です。
わたしも受診後に、説明をしましたが、「志乃ちゃんが障害者なわけがない!そんなこと心配しなくてもいい!気にしないでいい!」と励まされ、(ああ、ありのままのわたしを、現実を、受け入れてもらえるのは難しいんだな)と悟りました。
私たちのことを否定したり、至らぬ部分を責めたりするのは、圧倒的に家族が多いですよね。
ありのままの自分を一番理解して欲しい親に、私たちのことを理解してもらうことが、実は一番難しいし、理解してもらえなかった時のダメージがでかい。
自分の大学時代を振り返ると、まだまだ親の影響が大きかった時期です。
つい最近まで未成年で、親の保護が必要とされていた。未成年から成年までの過渡期にいて、成人式を迎えても、大人になった実感がありませんでした。
でも、成人するということは、親の保護下からの卒業も意味するんですよ。
あなたは、あなたのことを、もう自分1人で決めていい。
言いたくないなら、言わなくていい。
必要以上に傷つく必要は、全くありません。
それでも、どうしても親に理解して欲しいというならば、先述した通り、「なるべく抵抗の少ないアプローチで、「障害」という言葉は使わず、相手が受け入れやすい言葉を使って切り出す」のがベターかなと思います。
親からしても、ショックが大きいことだと思いますので、受け入れてもらうにはきっと時間が必要。長い目で見た方がいいでしょうね…。
【お悩みvol.5】親の理解がなく、受診するか悩んでいる。
大学2年の抹茶と申します。
私は、ADHDを疑っています。ブログの片付けられない、ちょっと置くとか学校の掃除は真面目にやるとか特に共感しました。
大学生になってから人間関係の構築が難しく、かつスケジュール管理や単位の管理もよく分からず、今に至っております。大変と言ってもらえて少し救われました。
忘れ物も元々多いのが自分の机がない大学生になってから更に増えました。ものを無くしてばかりです。
親にも怒られますが、そもそもいつ失くしたのか分からないし、気をつけているのになくなってます。
実家暮らしのため、今はまだいいのですが、今後の生活が不安です。
病院を受信すべきでしょうか。おそらく軽度だと思います。ステロイドで安定して改善を出来るなら受信するのも良いのかもしれないと思ってます。ただ、親には理解がなく、自分で通うしかありません。望月さんが、病院を受信しようと思ったきっかけはありますか。また受診して良かったですか?
もうお答えしている質問でしたら申し訳ありません。お忙しいとは思いますが宜しくお願いします。
ご質問ありがとうございます。
まず「病院を受診するべきでしょうか」については、個人的には「受診した方がいいんじゃないかな」という印象です。
あえて訂正せず、メール原文をそのまま掲載させていただいたのですが、この短い文章の中に、3回「受信」という誤字があり、おそらく「ストラテラ」のことを言いたいのかなという間違いが一つ。
ステロイドは皮膚炎に効く塗り薬ですからーーー!
(思わずツッコんでしまいました、気を悪くしたらすみません。)
もちろん、これだけでADHDだと断言はできません。
ただ、ご自身では「軽度だと思います。」とありますが、自分のことを客観的に見ることができないというのも、発達障害あるあるですから、一度受診してみてもいいのではないかなと思いますよ。受診する場合、病院を選ぶ時には「発達障害を専門にしているか」「しっかりとした資格を持った専門医か」をよくチェックしてくださいね。
ぶっちゃけ、ずっと精神科を受診したくなかった
ブログでも何度か、精神科を受診することについて、率直な気持ちを書いたことがあります。
生まれ持った脳の仕組みの問題ですから、薬を飲んだところで治るわけではないんですよね。
一度飲み始めたら、死ぬまでずっと飲み続けることになると思っていました。
特に、2種類のADHD治療薬のうちの一つ「ストラテラ」は、とても高価な薬。
自立支援医療制度の手続きをすれば、通常の1/3の価格で買えるとしても、多くの当事者にとって、大きな負担になっていました。
(※2018年8月から、ストラテラのジェネリック医薬品が承認されました!)
高いし、面倒くさいし、服薬することのリスクもあったしで、服薬するよりも、環境を工夫することで生きづらさが改善されるなら、その方がいいと思っていました。
わたしが精神科受診を決意したキッカケ
「必要に迫られたから」、これに尽きます。
もうね、薬を飲まないとどうにもならない状況に追い込まれましてね。
うつ病なのか、ADHD特性のせいなのか分からないが、とにかく「物事に取りかかることが非常に困難」になりまして。
育児をするどころか、まともに生活することもできなくなり、精神科に頼らざるを得なくなりました。
この記事の一番最後でも触れているのですが、今となっては「グダグダ言ってないで、とっとと相談しておけば良かった」と思います。
薬でこんなに変わるなら、周囲に迷惑をかける前に、素直に受診すれば良かったです。
この記事を読んだ方はこちらも読んでいます
親の理解が必要かどうかについては、先述した通りです。
発達障害を相談するなら、病院はよく選んで(精神科を選ぶ条件)
- 発達障害を専門に取り扱っている病院かどうか
- 主治医に「精神保健指定医」と「日本精神神経学会専門医」の資格はあるか
「どうせ治らないんだ、とりあえず薬で大人しくさせておこう」と捉える精神科も、残念ながら存在します。精神科を選ぶ際には、上記2つをチェックし、通いやすい病院を選んでくださいね。
詳しくは下記の記事を参考にしてください。
この記事を読んだ方はこちらも読んでいます
まとめ
「専門医に発達障害を相談したい」と思った時、親の顔色を伺う必要はありません。
カミングアウトするのも、別に必須ではありません。
生きづらさを改善したいのに、ますますあなたが辛くなる選択肢を選ばなくてもいい。
あなたのことは、あなたが決めていい。
ご両親も、「しんどいから病院に行きたいけど、親がなんて言うか分からないし、なかなか病院に行けない」と、あなたが隠れて苦しむことを、望んではいないのではないでしょうか。(世の中には色んな親御さんがいますから、断言はできませんがね!ウフフ!!)
先述した通り、薬価もかなり下がっていますし、自立支援医療制度という、精神科医療費が1/3になる制度もありますから、経済的な負担も以前より低くなっています。
大学生活が苦しいのは、あなた方のせいじゃない。
胸を張って、受診してください。
少しはお役に立てたでしょうか。
あくまでもわたし個人の私見でしかありませんが、少しでもあなたの精神的負担が軽くなることを願っています。
ADHDの現役大学生のみんな!
親に理解されなくても、どんまい!!!!
それでは、また。
【追記】ご相談者さまから、後日談をお寄せいただきました
志乃さんこんにちは。質問ではありませんがこの場を借りてお礼を言わせてください。
以前、受診を機にADHDを疑っていることを親に相談すべきかどうかで相談させていただいた大学生です。丁寧な回答と、ブログの方でも扱ってくださったこと、とてもありがたかったです。
あの時「どうしてもこのタイミングで言わなければいけないんだ」としか思えなかったので、志乃さんの言わなくても良いという選択肢を見たときはとても気が楽になりました。同時に、それで肩の荷がおりて逆に親に打ち明けようと思えました。親は「そんなこと言ったらみんなADHDじゃない?」と予想通りの反応でしたが、すんなりと検査に同行してもらえました。親は「障害というほどのことはない」という評価で色々証言したようですが(後日主治医から言われました笑)、WAISの結果を見ると凸凹が数値に表れているようで、ストラテラを処方してもらえました。
薬を処方してもらえたからか、今は親も「そうなんだ〜」くらいに受け止めてくれているようです。私自身あまり深刻に考えていないので気楽で良い結果となりました。
あと一歩がなかなか踏み出せずに決断できませんでしたが、志乃さんのお言葉のおかげで今の結果に落ち着いたと思っています。本当にありがとうございました。
わー。嬉しいお報せを、ありがとうございます!
とても勇気のいることだったと思います。 わたしは背中をほんの少し押しただけ。本当に、お疲れ様でした。 無事に処方されて良かったですね。
お互い無理せずいきまっしょい。
お悩み相談・受付フォームはこちら
コメント